サハラに舞う羽根
なにやら気持ちのいい響きで、主人公ハリーは19世紀英国の名門に生まれたので仕方なしに英軍の連隊長になっている。

英国は植民地が世界中にあって、英国こそ神が認めた世界の覇者であり世界は自分のものという、まるで日本、ドイツ、アメリカ、ヨーロッパ、というふうに数えると、どこの国でも一度はかかる熱病のような時代のころ。

もうすぐ結婚という幸せの絶頂期の頃、スーダンで反乱が起こったという事でハリーの連隊は出兵と決まります。
死ぬ事の恐さ、幸せになれるはずなのに死ぬのが確実と思われる地の果てまでいかなければならないことに耐えられず出兵直前に除隊届けを出して逃げ出してしまう。

みんなは闘える事に酔って大騒ぎしている中で、そんな冷静な判断ができる事は貴重といえるかもしれないけれど、英国本土で訓練だけしているのに自分が死ぬ事を想像する事はみんなには難しかったのは想像できる。
ハリーは平和がどうこうなどと考えたわけではなくて、恐さが先に立って逃げ出しただけというのが本音だろう。

友人たちからは臆病者というわけで、英国では臆病者には白い羽根を贈るらしく、婚約者からも1枚、4枚もらってしまう。

衝動的なだけに、冷静になってみると自分のした事を悔やみはじめるものの、悔やんだところで元に戻るわけではなく悩みはじめてします。

正直な映画なのかもしれないけれど、ここからが違って、自分のした事を取り戻すためにスーダンに出かけて、敵の待ち伏せを知らせようとしたり、捕虜となったのを助け出す。
白い羽根を贈った友人を助ける事で名誉挽回をはかろうとする。

植民地にされる側では反乱ではなくて正義の戦いであって、英国にしてみれば反乱、立場がかわれば当然の事ながら正義はどちらにもある。
ハリーが恐怖から逃げ出すのは理解できるが、英国に支配されているスーダンの事を考えているわけではなくて、単に自分の名誉挽回だけを考えているだけ。

自分の事だけを考えているハリーに共感を持てるはずも無く、英軍も反乱軍も大勢が死に、なーーだ、ハリーが英国に帰り、白い羽根を贈った彼女も理解をして、めでたく結婚。

何だこりゃ、自分だけ幸せになっていいのかよ、なんて突っ込みたくなった。

ハリウッド流勧善懲悪の矛盾、敵の兵士にも妻がありかわいい子供がいるかもしれないのに、まとめて爆弾でふっ飛ばして爽快か。

エンターテイメントとしての映画は好きですが、殺す事に無神経なのは×。

だからこの映画は×。

見ないことをみんなにすすめする。

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